私はあなたより、ずっといろいろなことを見ているし、知っているし、その中で自分で選択しているのである。
実際に自分から選択したものについては、実際に行動したり体験したりしている。
あなたの持ってきたものはそれに値しないと感じるし、いいものはそもそも押し売りに来ない。
そういうロジックで話したけれども、そういう都合の悪い話には、もちろん彼女はほとんど反応しません。
ただ一点、アイソレーションタンクについて話したときにかすかに反応しました。
こういうものです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/アイソレーション・タンク
日本ではここにあります。
http://www.eccoproject.com/shell/healing.html
サイトを見ると相当怪しいと思われるかもしれませんが、オーナーの宮部さんは開発者ジョン・C・リリー本人にも直接会ったことがある面白い人です。ジョン・C・リリーが何者かというと、また話が長いので細かいことはやめときます。アメリカのスピリチュアル系の元祖のような人ですが、今のようなビジネス化したスピリチュアルではありません。もっとピュアでオリジナルで、自由で実験的、冒険的な精神を持った人です。
ある種マッドサイエンティストに近いとも言えます。
怪しいといえば、そうとう怪しいのですが、新しいことをしようと思ったら、怪しいことに片足を踏み込まないわけにはいかないのです。
宮部さんは行くとスパゲティやワインなどを振る舞ってくれて、あれこれと話をして、仲よくなりました。
このアイソレーションタンク、面白がって50回以上入りました。一時期はオーナーの宮部さんに次いで、日本で二番目にタンクに入った人に認定されました。
しかし、やがて熱心な人に抜かれ、お客さんが多くなって、最初の頃のように呑気にあれこれ話す感じではなくなったので、足が遠のきました。
もともと「こういう変なものは応援しよう」という気があったので、流行ってくればもう応援しなくてもいいや、というニュアンスもあったのです。
タンクに入って何かすごい体験があったかと聞かれると、人に言って面白いようなことはあまりありません。
音のない暗闇の中で眠っているのか起きているのかのボーダーラインのような時間がずっとあった、という感じです(この時間はじつは創造的な時間です。だからといって特別なことを思いついたりはしなかったですけれどもね)。
かなりの回数行ったということは何か無意識が喜ぶものがあった、ということだと思います。
およそ、宗教や芸術や哲学というのは、当面何の役にも立たないのが上品であり、本物なのです。
無用の用、虚無への供物、役に立たなければ立たないほど純度が高いものです。
人はそのような無意味に向かって自分のエネルギーを働かせるときに、ふだんと違うエネルギーの世界に入ります。
行動がいつも対価や結果を求めている限り、悟りに近づいてるつもりで実際は遠ざかっていくのです。
僧や修行者が一生かかっても至らないかもしれない悟りというものに、2〜3週間の期間や、100万ぽっちの金(大金ですが)でお手軽に至れると思うのはとても下品な勘違いです。
一年で元金が2倍になるという投資話があったら冷静な人なら誰でも詐欺だと思うでしょう。
それと同じくらいケチ臭いダマシです。
(そんなお金があったら、私のセッションや心理研究会に来てください!)
……というお説教は彼女にはしなかったのですが(たぶん理解しないと思います)、タンクについては彼女はかすかに反応したのです。
(つづく ……次くらいで終わるかな)
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