2020.07.26 Sunday 16:48
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┃文章×表現《秘伝スクール》 第14号(通算289号)
┃ http://www.hiden.jp/
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┃ 「コロナの世界から何を学ぶか」
┃
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●みなさまごぶさたしています。だいぶ発行間隔があいてしまいました。
[ZONE22]の情報論を書こうとして、何週間も書きあぐねていました。
壮大なテーマで、しかも細部がややこしい。筆が進みません。
今回、この原稿は宿題にして、短いメルマガをお送りします。
コロナという現象とはいったい何か? について書いています。
そして「真理」というものについて。
重苦しい状況が続きますが、少し違う観点を提供できればと思います。
******「コロナの世界から何を学ぶか」*******
「群盲、象を撫でる」という格言がある。
この格言は差別語狩り、差別に人々が敏感になって以降、だんだん使われなく
なっているだろう。日本ではやがてこの言葉の存在を忘れていくのではないだ
ろうか。
ところが私はこの言葉が大好きで、深いと思っている。
だから必要な場面では使っている。
この格言は歴史的にも地理的にも、広がりがあるようだ。
歴史的淵源は古過ぎてわからないが、ペルシャの昔話にあると聞いたことがあ
る。
あるいはイスラム秘教スーフィと関係があっても不思議ではない。
たいへん由緒ある格言である。
知らない人のために解説すると、たくさんの盲人が象を撫でて、足を撫でた人
は「柱のようだった」、耳を撫でた人は「扇のようだった」、尻尾を撫でた人
は「紐のようだった」、胴体を撫でた人は「壁のようだった」とバラバラのこ
とを言うという格言である。
では、象の全体像はどこにあるのだ?
彼らの言うことをまとめても、まるで象という全体が浮かんでこない。
この格言は「真理」についての知恵なのである。
人が「真理はこうだ」と語るとき、つねにある断片を語っている。
自分が手探りして得た部分的な認識がすべてだと思い込む。
そこに執着するなら、むしろ真理からは遠くなる。
そういう教えをたいへんわかりやすい喩えで表したものだ。
では、真理をつかむにはどうすればいいか。
まず謙虚でなければならない。
真理とは本質的に人には知り得ないものである、という謙虚さだ。
そして、自分が知り得たものは、部分に過ぎないと知れば、全体に対する畏敬
が生まれる。
その中で人の言葉にも耳を傾けることができる。
「柱のようだった」と体験した人も、「扇のようだった」という人の言葉に耳
を傾けることができる。
そして、自分の期待、利害や思惑、思い込みなどから自由な人だけが、少しだ
け全体像に近づける。
*
これを現在のコロナの状況に当てはめてみる。
コロナがどんなウィルス、どんな病気、どんな現象であるか。
これが象である。
みんな口々に「コロナはこうだ!」と口にしている。
しかし、多くの人にとって、どれを取り上げても納得できる全体像にはならな
い。
「象は柱のようなものだ」と決めつけてしまう人もいるだろう。「コロナは風
邪のようなものだ」、「コロナは陰謀だ」それで生き方ははっきりして簡単に
なるが、真理に近いかどうかはわからない。
もともと世界は人にとって、わけのわからないものだったのである。わからな
いものは怖い。
そういう怖いものと向き合う恐怖から、人はおまじない、迷信や、宗教などを
作った。そこに法則的なもの見出し、「未知のもの」を「既知のもの」、「扱
い方を知っていれば怖くないもの」に変換しようとしてきたのである。
そういうおまじないの集大成が科学や医学、さまざまな学問である。
それらは、全ての自然現象を自らのマトリックスの中に取り込んで、「我々は
すべてを知っている。対処できる。未知の部分はわずかでそれを全て征服する
日も近い!」と叫び続けてきたのである。
しかし、医学がすべての病気・症状を治したことは一度もない。
経済学が何かを予見して経済を救ったことは一度もない。
気象学も地質学も台風や地震の被害を軽減することはない。
すべてのおまじないの網目の隙間から、「未知のもの」「制御できないもの」
が顔を出す。
これこそ、人にとっての本来の怖い「世界」である。
それが怖いから世間の人は、学問の権威にすがる。
彼らの後ろにつけば、「未知のもの」に自分自身が出会わなくて済むからだ。
しかし、これから未知のものが台頭してくる。
その名は「自然」である。
当たり前のことをいうが、人類は自然を征服などしていない。しかし、なんと
なく「だいぶいい線行っている」と思っていただろう。
その隙間からいろいろなものがでてくる。
過剰に怖れる必要はない。
人も自然に属している。
そのことを思い出すのだ。
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重苦しい状況が続きますが、少し違う観点を提供できればと思います。
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「群盲、象を撫でる」という格言がある。
この格言は差別語狩り、差別に人々が敏感になって以降、だんだん使われなく
なっているだろう。日本ではやがてこの言葉の存在を忘れていくのではないだ
ろうか。
ところが私はこの言葉が大好きで、深いと思っている。
だから必要な場面では使っている。
この格言は歴史的にも地理的にも、広がりがあるようだ。
歴史的淵源は古過ぎてわからないが、ペルシャの昔話にあると聞いたことがあ
る。
あるいはイスラム秘教スーフィと関係があっても不思議ではない。
たいへん由緒ある格言である。
知らない人のために解説すると、たくさんの盲人が象を撫でて、足を撫でた人
は「柱のようだった」、耳を撫でた人は「扇のようだった」、尻尾を撫でた人
は「紐のようだった」、胴体を撫でた人は「壁のようだった」とバラバラのこ
とを言うという格言である。
では、象の全体像はどこにあるのだ?
彼らの言うことをまとめても、まるで象という全体が浮かんでこない。
この格言は「真理」についての知恵なのである。
人が「真理はこうだ」と語るとき、つねにある断片を語っている。
自分が手探りして得た部分的な認識がすべてだと思い込む。
そこに執着するなら、むしろ真理からは遠くなる。
そういう教えをたいへんわかりやすい喩えで表したものだ。
では、真理をつかむにはどうすればいいか。
まず謙虚でなければならない。
真理とは本質的に人には知り得ないものである、という謙虚さだ。
そして、自分が知り得たものは、部分に過ぎないと知れば、全体に対する畏敬
が生まれる。
その中で人の言葉にも耳を傾けることができる。
「柱のようだった」と体験した人も、「扇のようだった」という人の言葉に耳
を傾けることができる。
そして、自分の期待、利害や思惑、思い込みなどから自由な人だけが、少しだ
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これが象である。
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い。
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邪のようなものだ」、「コロナは陰謀だ」それで生き方ははっきりして簡単に
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もともと世界は人にとって、わけのわからないものだったのである。わからな
いものは怖い。
そういう怖いものと向き合う恐怖から、人はおまじない、迷信や、宗教などを
作った。そこに法則的なもの見出し、「未知のもの」を「既知のもの」、「扱
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それらは、全ての自然現象を自らのマトリックスの中に取り込んで、「我々は
すべてを知っている。対処できる。未知の部分はわずかでそれを全て征服する
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気象学も地質学も台風や地震の被害を軽減することはない。
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